◆進化周到vs.進化終頭◆

 「あっさりして美味しか」と、このところ人気上々のはら身は
横隔膜のことなのです。
太古の昔、低酸素時代の地球を生き抜く為に我が哺乳類が周到に進化させ
手に入れた優れものだと聞きました。
呼吸の度に上下運動繰り返す働き者なのです。
時に厄介な”しゃっくり”は働き者横隔膜のたまの息抜きなのでしょう。
 或る日、執拗な”しゃっくり”に目を白黒の愚息。
見かねた友人が「茄子の色は何色だ?」とさり気無く一言。
一瞬戸惑い「グッ」と息を詰めるとこれが効果覿面。
どうにもならなかった”しゃっくり”を予期せぬ程の他愛無い質問であっさり
止められ、「わきゃ(訳が)わからん、なんか自分が情けなか」と憂いて
とうに進化を終えたとおぼしきみずからの硬き頭(こうべ)を垂れるのです。

 一方、他愛無きことにこそ意義をみて、たとえ息抜きの最中(さなか)とて
機敏に反応するまで進化を遂げたはら身の繊細さ、その柔軟さ
美味しいわけです。